ネイルサロンの思い出~日本でのネイルヒストリーが始まる

ネイルサロン運営の第一歩はワンルームマンションの一室から

さて最初のオフィス兼サロン兼セミナースペースは、原宿の竹下通りの裏でした。原宿駅竹下口から徒歩2分という好立地です。東京に出てきて間もない私はもちろん物件探しに役立つはずもなく、内装をしようにも業者もわからずといった具合でした。部屋が決まって、Mさんと二人で、唯一の会社の備品であるラップトップ、そして私が持って帰ってきたジェルの入ったダンボールを部屋に運び入れ、ダンボールの上でパソコンを起動させ、「さて、どうしよっか」と二人で呟いたのを覚えています。それでも社長の友人にご紹介いただいた内装業者の方にガラス張りの素敵な作業デスクを作っていただき、Mさんと一緒に大塚家具に行って椅子を仕入れ、ロンドンから持って帰ってきたネイル器材を置いて、なんとかサロンとしての体裁が整っていったのでした。次はお客様探しと、受講生探しです。いえ、その前にお店のメニュー作りと、サンプルチップ作りと、Calgelの案内作りと、コースの設定です。Mさんは会計を管理しているので、もはやパソコンが1台では足りません。早速弟に自分専用のラップトップをかってきてもらいました。

 

最初はネイルサロンではなくヘアサロンから!新規開拓にむけて

サロンへのお客様は、社長とM さんのご友人たちがまずご来店いただくようになりました。日本ではまだ新しいCalgel を知っていただくためにはとにかくたくさんのお客様にお試しいただくことです。新規のお客様にお会いできる期待と同時に、私は緊張もしていました。自分のテクニックには自信がありましたが、この高温多湿の日本のこと。イギリスで長持ちしたからといって、日本でもそうとは限りません。とにかく衛生には気をつけて、甘皮周りをきれいにし、基本に忠実に丁寧に施術を行いました。時を同じくして、私たちはあるヘアサロンをご紹介いただき、そのサロンのマネージャーさんの前でプレゼンをさせてもらえることになりました。すでにそのサロンで使用するジェルは決まっていましたが、ダメ元で。ご来店したお客様がすぐに気付かれる特徴はとにかく「臭わない」ことと「爪表面を削らない」こと、そして「自然なつけ心地」です。果たして、マネージャーさんはすぐにこう言ったのでした。「このジェル、臭わないのがいい。お店で使ってみます。スタッフ12 人の教育をお願いできますか?」

 

ヘアサロンが出発点!ネイルの正しい技術の伝達が販路を広げる

「私が行っている自由が丘のヘアサロンで、何か面白いジェルを使っているなあと思って」ワンルームマンションのオフィスに、ある日一人のネイリストさんがいらっしゃいました。講習を始めてから、初めてお越しいただいたネイルサロンのネイリストさんです。オーラが違います。このCalgelはぜひネイルサロンでも使っていただきたいなあと思っていた矢先でした。最初にCalgelを導入していただいたヘアサロンのスタッフの方に、お客様に喜んでいただける丁寧な施術をしたことがきっかけとなって、このネイリストさんに興味を持っていただいたのでした。つくづく「正しい技術の伝達」がこの商品の拡販には必要不可欠なのだと実感しました。このネイリストのK先生は、ご自身のサロンでも導入いただき、その後も多くのネイリストさんをオフィスに連れてきていただいたのでした。そのうちのお一人の紹介で、私たちはやがて世界でも最大級のネイルの祭典「ネイルエキスポ」に出展することとなります。ここから「画期的なジェルネイル」として本格的に業界に広がっていくこととなります。
田賀 美鈴(MOGA・BROOK)