クリープパーマの還元
拡散律速の還元:毛髪科学の中に記載されている「すすぎ」「クリープ期」の前に書かれている「還元」の記述の一部です。ふつうパーマ処理では毛髪中の全シスチンのうち20%しか還元されません。還元反応は拡散律速なので、還元された部分は毛小皮から始まり、次第に毛皮質の外側の部分まで進むが、内部は変化しません。還元された部分と未変化部分の割合はチオグリコール酸の濃度、浴比、PH、反応時間、毛髪の太さ、毛髪の状態によって異なる事は既に述べています。
クリープパーマの中間水洗・冷却
熱可塑変化→応力緩和→低温硬化:クリープパーマは中間水洗で髪は100%濡れるわけですが、すすぎによって毛髪内のアルカリは抜けて代わりにさらに水分が大量に入ります。髪はそもそも、相対湿度80%以上から100%方向に急激に強度が下がり、可塑性が急上昇します。90%~100%の水分量との熱可塑変性による熱を加えると変形しやすくなり、一定の時間内に曲げのためのひずみが緩やかに30分かけて「応力緩和」が起きる現象をクリープと言います。
新しいクリープパーマの工程のスタンダードなやり方とは
維持的な曲げ変形は水分を抜くことで可能ですが、永続的な変形にはSS結合を切る還元剤と二番目に結合力の強い塩結合をアルカリで切っておかないと応力緩和が起きにくくなります。ある程度のアルカリを含む還元剤を使用してクリープパーマを行うことが大事であって、その中間水洗でアルカリ分が水と入れ替わることにより、膨化が進み曲げに対しての応力緩和が起きます。アルカリを使った薬剤での膨潤後の水洗で入れ替わって入る水とその髪に3分以上の蒸気や熱を加えることで応力緩和の移動がすばやく終わります。曲がり形状の固定化を増やすためには熱可塑真逆の低熱硬化に状温水を使い、髪を冷やしクリープの安定性を高めることができます。従来の「クリープ期応用パーマ」の「応力緩和」に30分かかっていたものをスチーミングを与え熱可塑変性を高め、ずらし変形安定を半分の15分に地縮ませることができました。さらに冷やして安定性を高め二液酸化工程に移る。これが新しいクリープパーマの工程のスタンダードなやり方です。
田中雅巳MAGO(Hair&Make COLLECTION)