爪解剖学・ネイルマニュアルetc・・・英語のネイル用語を和訳して
スーツケースにカルジェルを詰めて帰ってきたのは2001年の11月。福井県の実家に落ち着き、まず取り掛かったのは「和訳」でした。これまで英語で書き溜めてきた実技メモ、ネイルアートの講習用資料、爪解剖学や病理学に始まり、カルジェルのマニュアル、商品カタログ、試験の採点表、商品の成分名など、宿題はギッシリどっさり。一つずつ片付けていくしかありません。ネットで調べると、日本にはネイルテクニシャンのための協会や私立のネイルスクールなるものがあるらしい・・・。しかし13年前、愛すべき我が故郷、地味県ランキングぶっちぎりの福井には、ネイルに関する知識や技術を習う場所もなければ、聞ける人もいませんでした。いずれこの協会やらスクールやらがある東京に引っ越ししたら、色々と勉強させてもらって資料を完成させよう・・・。しかしまずはこの和訳を終わらせなければ、聞けるものも聞けません。「Gel application」はなんて訳そうかしら?「ジェル塗り」がベタかもしれませんが、イギリスでは「Don’t paint, but apply」(ジェルは『塗る』のではなく、『置く』)と習ったし・・・。でも「ジェル置き」はどう考えてみても変だし・・・。英語では、爪にジェルを塗るのも「application」、スカルプチュアフォームを指に装着するのも「application」、ネイルチップを爪に接着するのも「application」。延長できなかったですけど、ビザの申請も「application」です。便利ですよね。
爪トラブル「グリーンネイル=緑膿菌」英訳病理学に四苦八苦!
病理学の和訳はもっと大変で、例えば爪が緑色に変色してしまう「グリーンネイル」。イギリスでもらったマニュアルには「Pseudomonas bacteria」と書かれていました。実家にあった家庭向けの医学書で「Pseudomonas bacteria」は「緑膿菌」とわかったまでは良かったのです。しかしマニュアルの説明には「This is green fungus infection」となっているではありませんか。む?「Fungus」って、カビのことじゃなかったっけ?あれ?カビと細菌は全然別のものなのに、なんで?・・・とネットで「爪、緑色」で検索してみると、爪が緑色に変色するのはやっぱり「爪カビ」と出てきます。ということは家庭の医学書が間違えている?いやそんな馬鹿な~・・・。第一「Bacteria」は「細菌」って意味だし、どうしてイギリスのマニュアルと日本のネットでは、細菌とカビが混同されているのかしら?ぬううう~・・・これはやはりなるべく早く東京に行って、爪の専門家にいろいろと聞いてみたい!あせる気持ちを抑えつつ、やっと新年を迎え・・・、2002年、めでたく大学に合格した妹とともに私は東京に引っ越してきました。ちなみに「グリーンネイル」は、緑膿菌という「細菌」によって引き起こされます。カビは「真菌」ですから、正確には「グリーンネイル」イコール「カビ爪」というのは間違い。今でも混同されてることもあるらしいですね。
リサーチ開始ネイルスクール入学!え?ネイルカラーアレルギー?
さて東京にやってきた私はまずネットカフェに行きました。当時はまだ自分のパソコンを持っていなかったのです。そこで検索して出てきたサロンに行って施術を見て勉強させてもらい、さらにネイルスクールに入学して一からネイルを教えてもらうつもりでした。イギリスにいた時にはあまりの忙しさに旅行にも行けずじまいでしたが、これが幸いして貯金は十分あり、サロンやスクールに通ってもしばらく生活費には困りませんでした。しかし・・・その代わりとても困ったことが起きたのです。それはアレルギー。ネイルケアコースで、ネイルカラーを使い始めたあたりから、なんとなく喉が痛み始めました。うう・・・そういえばイギリスのサロンでもカルジェルを使う前はこんな感じだった・・・と思いつつ放っておいたら、ある日突然声が出なくなってしまいました。慌てて病院に行って検査してもらったものの、治療のかいなく結局声が戻ってきたのは1ヶ月後。習いたかったことはもっとたくさんあったけれど、結局は短いコースのみを終了して勉強は一旦諦めました。将来、また習える日もあると信じて(習えました。このお話はまた後ほど)。私がジタバタしている間に、社長と元MOGA社員のMさんは着々と会社設立の準備を始め、ほどなくして「オフィスは原宿だよ!」と連絡がありました。原宿?ああ、あの修学旅行で行ったとこね。
田賀 美鈴(MOGA・BROOK)