髪の毛が「硬い、多い、重い」ボリュームが出ないカット技法

髪の多い方、硬い方へボリュームがでないカット方法

憧れのヘアスタイル、あなたに似合うヘアスタイル、なりたいヘアスタイル……髪質がネックになってなかなか満足できるヘアスタイルにたどり着けない人も多いはず。
今回は「髪が硬い、多い、重い」人のためのカットに照準を当てて、非常にマニアックに解説します。

髪の硬い人やくせ毛の人たちは、もちろん「軽く見せたい」という願望をお持ちだと思いますが、美容師に「髪を梳いてください」と依頼したら「かえって髪が膨れてしまった」あるいは、「軽くはなったのかもしれないけど、バサバサになってしまった」、時には「髪なんか梳いたら余計に膨らみますよ」と梳くの自体を断られてしまった、など苦い経験をお持ちの人も少なくないと思います。

 

髪が硬い人・くせ毛の人にボリュームが出てしまうカットとその理由

髪の硬い人、多い人の「重過ぎる質感」は、諦めるしか無いのでしょうか?

もちろん答えは「No」です。
実は髪の多い方の「梳き方」にはちょっとした工夫が必要なのです。

髪が少し多い程度の人なら梳きハサミでも効果が出せるのですが、本当に硬い方や多い方に「梳きバサミ」を使うと逆効果になってしまう可能性が高いのです。
「髪を減らす」とは言っても、実際に髪が減っているわけではなく、あくまで「ギザギザに切っている」訳ですから、どういう形の「ギザギザ」を作るかによって、結果は驚くほど差ができてしまうのです。

美容師の中には「梳きバサミ」を軽快な手さばきでランダムに入れる人もいますが、普通に多いだけならある程度なんとかなっても、多すぎる人にはこれではまず、うまくマッチしません。そもそも「梳きバサミ」は一回閉じるごとに、はさみを入れた箇所で切れる長さと、もともとの長さの2種類の長さができるわけです。
つまりわかりやすく言えば、下の図1の様になるわけです。

もちろん、美容師だって梳きバサミを縦に斜めに入れたり、何度も重ねて入れてラインを崩そうとはするわけですが、やればやるほど毛先がペラペラになり、逆に根元の重さを強調するかの様に形がどんどん妙な丸みを帯びて変形していってしまうのです。

そうならない様に髪を減らすためには、図2のような、細かく深い、きれいにそろったギザギザを作る必要があるのです。このギザギザは髪をとかせば図3のように重なりますので、バサバサになったりせず、格段にまとまりが良くなるわけです。

それでは実際にカットした画像を見て、比べてみてみましょう。

下の画像のお客様は非常に髪が多く、しかもややくせ毛です。
これを髪の長さは変えずに量だけ変化させます。髪は乾かしてからカットします。このとき「ドライストロークカット」という技法を使います。濡れているままだと髪同士がくっつくので、きっちりと乾かします。

「ドライストロークカット」というのは何をしているのかというと、刃渡りの長いはさみを開閉させてこの指で挟んだわずか5cmの幅のスライスに50~60個もの深いギザギザを作るのです。手際良く切っても、全部切り終わるまで30分以上かかりますが、まるで本当に髪が柔らかくなったかの様な質感が得られます。

Afterが完成画像です。髪の量が減っただけでなく、自然なシルエットでまとまっているのがお分かりいただけると思います。ドライストロークカットは完璧にマスターするのに、器用な人でも2~3年はかかる特殊な技術です。もちろん、どこの美容室でも、普通にやっている切り方ではありません。

これに近い理論でカットしているサロンも探さないと見つけにくいかもしれませんが、髪が多くて、あるいは、硬くて、ボリュームが出すぎてお困りの人、この「ドライストロークカット」を体験してみられてはいかがでしょう? 普通のカットに比べ、セットもしやすいし、モチも抜群に良く、カットに行く回数が半分以下に減ると思いますよ。

美容師/やすい秀治(B2C)