誰もが憧れたプリンセス。人魚姫の物語をネイルに乗せて

誰もが憧れた人魚姫の物語をネイルに乗せて

私が子供の頃、両親がアンデルセン童話やグリム童話を読んでくれるベッドは「夢の国の扉」でした。
近年、多くの童話は人気映画の影響で、豪華なミュージカル仕立ての感動作品になっています。そんな作品の中に、女性なら誰でも1人くらいはお気に入りのプリンセスがいるのではないでしょうか? この時ばかりは少女に戻って、憧れの王子様に胸をときめかせ、涙したいですよね!
しかし大人になってから、童話や民話を読んでみると驚くことがあります。
実は物語の真相は、子供の頃に聞いていた、心躍る耳障りのいいものばかりではないのです。むしろ残酷なもの、恐ろしいもの、エロティックなもの、不道徳なもののオンパレードです、笑(一説によると日本の子守歌の一部も、赤ちゃんのための歌ではなく、子守りをしている側を励ましたり、慰めたりするものだと聞いたことがあります)。
大人になること、生きていくことって、「甘くてふわふわ」なんてことばかりではないでしょう? 大人の読解力と経験が、物語をそんなふうに感じさせるのでしょうか。出会って、恋して、傷ついて、憎んで、羨んで、愛して、泣いて、笑って、立ち向かって…私達は今まで、こんなビターな思いもたくさん集めてきたから。「キラキラしたお姫様だけが美しいのではない」と知っているのです。
今回は大人になった私がイメージした、「人魚姫」ネイルをご紹介します(作品には全てジュエリージェルのベースジェル、カラージェル、メタリックジェル、トップジェルを使用しています)。童話には出てこない、オリジナルの解釈も添えて。
切なく美しい大人の物語。3シーンのはじまり、はじまり。

シーン①「Bubbles to heaven 天国へ繋がる“あぶく”」

“私の声も顔も忘れて、王子様が異国の姫を愛した日から。私の心は死んでいました。あなたを魔女の短剣で刺し殺すなんて、できない。私は、朝日とともに海のあぶくと消えるでしょう。でも、どうか、どうか忘れないで。あなたを愛して、あなたも愛してくれた、私がいたことを。人魚姫が一粒の涙を流すとそれは床に落ち、小さく、ことり、と音をたてました。朝焼けの時。異国の姫と王子はまだすやすやと寝息を立てています。静けさの中、船の片隅でひっそりと輝いているものがあります。それは美しい、一粒の小さな真珠のように見えました。”

シーン②「I’m yours 宝石の鱗もいらない」

“「人間の足がほしいのかい? だったらお前の声と、宝石のような鱗全部と引き換えだよ」魔女が言いました。若い人魚姫は迷うこともありませんでした。王子様に会えるなら、陸に上がって踊ることができるなら、私のすべてと引き換えでかまいません。美しいとたたえられた歌声も、きらめく宝石の鱗も、全部、いらない。人魚姫が魔女にもらった薬を飲み干すと、突然、気絶するような痛みが体を裂きました。そして鱗たちは泡を立てて消えていき、のどは砂漠のように静かになりました。人魚姫は大きな代償と恋のみを持って、人間の足を手に入れたのです。”

シーン③「Innocent days 幼き日々の憂鬱」

“深い深いもっと深い。ポセイドンの伝説が眠る海の底。若く美しい人魚姫は毎日歌いながら暮らしていました。なんて美しい声、なんて美しい姿! 人魚姫の周りを取り囲む、海の生き物たちは口々に言うのです。それなのに人魚姫はそれにも答えず、最近ぼんやりとしています。美しい友達、優しい潮の流れ、波の作り出す音楽。「小さな頃から、私はずっとこうして生きてきた。穏やかすぎて。退屈なのよ。嵐のあの日、私、人魚の掟を破ったの。「海で溺れた人間は助けてはいけない」だけど、あの人だけは助けたい! って思ったの。心臓の音がうるさく聞こえた。なんて気持ち! こんな気持ち、この美しい海の底には存在していなかった!」人魚姫の初恋は、海の底の色彩を日増しに奪っていったのです。”