手描きアートのネイルシールはこうして作られた!
手描きアートのネイルシールRe-cueを販売して、間もなく6年目を迎えます。
新規のお客様を、お受けできなくなってきた時期と、私の手描きアートがシールと見間違われたり、「これがシールだったらいいのに!」といったお声が聞こえる時期が重なって。タイミングや出逢い、周囲の励ましなどの後押しがあって、「私のデザインが商品になることで喜んでくれる方がいるなら、やってみよう!」と思いネイルアーティストからプロダクトデザイナーに立場を変えることになりました。
上質なネイルアートが楽しめるネイルシール作り
とはいえ、試作を重ねて納得できる商品ができるまでには、それから数年かかりました。当時からサロンではジェルが普及していたので、ネイルアーティストの立場から考えると、どうしても未硬化ジェルの上に、そのまま重ねて貼れる素材を作りたかったんです。
当時は手描きをシールにした商品はなかったので、手描きのぬくもりと、エアブラシの綺麗なグラデーションの再現は譲れない部分でした。当時もネイルシールはありましたが、子供っぽいデザインが多く、大人の女性に上質なネイルアートを気軽に楽しんでいただきたいという強い思いがありました。
0.1ミリ単位で作り込むシールのデザイン
おかげさまで、今では定番商品や、新作を定期的にリリースさせて頂いていますが、その都度、モノを作ることの奥深さを感じます。
直接爪に描くのとネイルシールを作るのとでは、勝手が全く違います。
まずシールの場合、サイズを先に決めなければなりません。爪の大きさやアレンジの仕方でサイズ感は微妙に異なるんです。単品でも組み合わせても自由に楽しんで頂きたいので、サイズ決めはいつも0.1ミリ単位で悩みます。
仕上がりの決め手は、使う方のニーズと自分の直感力
また、描いたままに発色や濃淡は再現できないので、出来上がりをイメージして描いていきます。
さらに、1シートの中にどのアイテムがどのくらいの配分あれば、均一に使い切っていただけるか、パッと見はこちらの方が綺麗だけど、実際の使い勝手を考えるとやっぱりこっちかな、などなど、お使い頂くネイルアーティストさんやお客様のさまざまなニーズを想定した上で、最後は経験と直感で決定していきます。
そうしてベストだと思って作ったものも、印刷の時に一から見直すこともありますね。
迷った時は、自分の心に耳を澄ませること。ときめきを大切に
デザイン業というと華やかに聞こえますが、実際にはほとんどが地道な作業です。
その中でも、心に留めていることは、自分がときめくものが出発点であり、着地点であるということ。私自身が使いたい! というときめきに、伝わる力があるという実感があるんです。ですからニーズを考え過ぎて道に迷ったら、自分の心に耳を澄ませるようにしています。
ネイルアーティストさんにはお仕事が楽しいっ! お客様には眺めているだけでときめいちゃうっ! と感じていただけるような、モノ作りを目指したいと思っています。
松本寿美代(ATELIER Re-cue)