身の回りにあるものすべてがデザインになる
「何にインスピレーションを受けて、どうサンプルを作っているのですか?」
お客様からもセミナーなどでも、必ずご質問いただくことです。
洋服・和服・靴・バッグ・アクセサリー・テキスタイル・壁紙・パッケージ・植物・動物・昆虫・微生物・太陽・月・星・惑星・宇宙・音楽・絵画・風景・漆器・和紙・伝統工芸、あるいは人の喜怒哀楽まで、日常に存在するすべてがデザインになり得る、と私は思っています。
常にアンテナを張っておくことが大事。とは言っても、気を張ってしまうと疲れちゃうので、日常に溶け込むデザインを楽しみながら探してみてくださいね。
限られた素材で魅せるジェルアートの真骨頂
私のサロンのサンプルデザインだけを見るとマニアックさが目立ってしまっているように感じてしまうかもしれません。
それは、私が「ネイルはアート」だと考えてるから。ただ自分が「美しい」と思ったその直感を信じてデザインします。
モチーフそのモノに触れたときや写真に撮ったときに、「どこ」を「どう」「美しい」と思ったのか、もう一度客観的に見直します。
「ココだ!」と思ったところがネイルデザインへ落とし込めるポイントです。
私の場合、ほぼ100%の割合でジェルアートに落とし込んでいきます。
その質感や風合いをジェルでどう出すか……。限られた素材でどう魅せるかがポイント。
透明感、ざらっとした感触、羽のようなふんわりした軽さ、消えてしまいそうなほど繊細なライン、今にも動き出しそうな躍動感あるライン……机上はすでに戦場です。
そういった「質感」を出すアートについては、またの機会にお話できればと思います。
大切にしているのは、デザインを通してお客様を感じること
さらにネイリストとして大切なことは、単にネイルデザイン単体で捉えているわけではなく、その先にいる大切なお客様を感じながら作成すること。
カラーを組み合わせながら、「きっとあのお客様に似合うだろうな」と想像しながら、手に取ったカラーをいったん置き、違うカラーに変えてみる。
「たぶんあのお客様ならもう少し華やかな感じが似合うかな? じゃあ他のカラーバリエーションも作ってみよう」
そんな私の妄想とのコラボレーションゆえに生まれたデザインが、お客様の手元を飾らせていただくのです。
単純に、「綺麗だからサンプルにしてみた」という作品もありますが、そういう一人で突っ走ったものはお客様の元に届くことは残念ながらあまりありません。
私はあいにく口下手でボキャブラリーにも乏しく、熱い思いを持ってサンプルを作ったとしても、それを情熱的にSNSやお客様に直に伝えることはとてつもなく苦手。
だからどうしても無口なイメージは拭い切れませんが、そんな私のサロンにもずっとお越しいただいているお客様には、施術や会話の中で知らず知らずのうちに伝わっているのかな……と信じています。
密やかでほのかな私のお客様への感謝の気持ち。そしてネイルに対する想い……こうして作り上げた作品がお客様に気に入っていただけとき、心の中でガッツポーズするのです。
ネイルアーティスト/村島敦子(Nail Salon ~ShareaL~)